皆さん始めまして、雑誌、モデルアート、モデルカーズ、CSフジテレビ721等のメディアをはじめ、メーカー原型製作を生業とする、プロモデラーの齋藤と申します。 MAX氏と知り合いになった経緯から、ゲストとして参加する事になりました。
参加車両はYAMAHA・TZR250です。
これは私が始めて買った中型車両で、初めてサーキットを走った車両で、かなり思い入れが有りましたが、KITは何処からも販売されませんでした。 そこで一念発起しての製作するとしました。

まずは気軽にRhinoceros(3Dソフト)で3次元データーでお絵かき。
サービスマニュアルのデーターから3次元データーを興しました。

落書き程度のデーターで気軽に始めたので、修正はかなり必要です。  

3D切削機のモデラにてケミカルウッドを切削。
データーが荒いので表面はボコボコ。
これを削り出すのに3日間モデナフル稼働。反対側とタンク、シートカウルを左右切削のに失敗を合わせて20日間を要しました。
切削直後は、こんな感じに仕上がります。
ナックルガードやウィンカーは、位置と大きさが判れば、一度型取りして削り飛ばして形をシャープに作り直し、再度取り付けながら位 置出し。
カウル左右を仮付けして、全体の形を修正。
サービスマニュアルの図面から興したとは言え、立体化すると実車とは雰囲気が大幅に違うので、実車写 真と照らし合わせて修正して行きます。
各外装パーツを揃えて見る。

ウィンカーはタミヤのFZ250フェーザーを使用したが、私がサーキットを走っていた仕様とするので、完成時には四散防止のテープが張られる。 フレームはプラ板から製作。

寸法確認の為、1/12に拡大コピーした図面に、ほぼ出来上がったパーツ類を並べてみる。

実車写真ばかり見ていると寸法がズレ、図面ばかり見ていると実車らしくならないので交互を見ながらの作業。

大まかな形が出来上がって来たデルタボックスフレーム。
ホイルはサイズが無く、FZR750(OW01)を細くして、リムを旋盤で削り直し。
タイヤは当時、私が始めてサーキットを走った時の再現の為、ノーマル純正タイヤにしようと思ったが、サイズが無く、散々捜した所、幅、高さも同じだが、16インチとサイズの小さい、FZ250フェーザーのタイヤを17インチホイルに無理やりはめ込む事で問題解決。

バイクをフルスクラッチしようとした時に、流用パーツが少ない事につくづく痛感させられました。

全てのパーツの仮組み。

FZ750(OW01)から、 ホイル(加工) 、ディスク板(加工)、トップブリッジ(幅その他加工)、 チェーン(加工)、 レーシングスタンド(仮使用)

FZ250フェーザーから、 タイヤ(無理やりw)、 フロントウィンカー(画像には無し)、 フロントフェンダー(芯しかならなかった)(画像には無し)

SRX600から、三叉アンダーブラケット(幅加工)、 フロントフォーク(加工)

マフラーを作ろうと思いましたが、エンジンが無いと正確な位 置が出ないので、ケミカルウッドをベースにエンジン製作。
シリンダーやヘッドはタミヤのエポキシパテの塊をカッターナイフ等で彫刻して行きます。

ほぼ出来上がったエンジン。

キャブレターも流用出来るTMキャブはKITが無く、結局80%以上パテの塊からの削り出し。

「YAMAHA」の彫刻はアオシマのSR500からその部分のみ移植。

エンジンが上がって来たので、チャンバーの仮組み。
製作テーマとして、私が初めて筑波を走った仕様と言う事で、チャンバーもノーマルで、リヤの泥除けも作りました。
泥除けはFZ250フェーザーからの流用でしたが、0から作った方が早い位形状を変えました。
フロントディスクキャリバー(ヤマンボ)は流用出来る物が無く、これもフルスクラッチ。
画像は原型ですが、これを複製して両面に張り合わせ対向ピストンを再現します。
型取りをし易くする為に後から簡単に製作出来るモールドはこの時点では敢えて製作せず、必要最低限の形状に抑えて置きます。
シリンダーやキャブもこの方法で簡単に複製しました。
シリコンは、ブルーミックスと言う即硬化シリコンゴムで、手で混ぜて10分で硬化を始め、20分もすれば複製作業が出来ます。
そこへ余ったパテでも空気が入らない様に詰め込んで置けば、ガンガン複製が簡単に出来る訳です。
大まかなパーツが揃いつつあるので、全てのパーツを仮組みしてバランスを確認します。
ミラーやチェーンカバー、シングルシートカバー、インナーサイレンサーも製作しましたが、ミラーはサーキットを走る時は外していましたので、サーキット仕様では付けません。
ほぼ完成したメーター回り。
各メーターはOW01から拝借しハウジングとランプ系を製作。
ハンドルもフェーザーやSRXの物ではチョークが付いていたり、セルスタータースイッチが付いていたりと使い物にならず、RZV500の物をベースに大幅変更。
ほぼ出来上がったフォルム。
フロントフェンダーもFZ250フェーザーのを使ったが、芯にしかならなかった。
残すは、ステップ類とブレーキ、シフトぺダル、スクリーン、ゼッケンプレートです。
デカールの版下が完成。
パーツリストより画像を取り込み、形状には手を加えず、像のボヤケのみ多少加工して、ただ1/12に縮小したのだがカウルサイズにドンピシャ。 自分の原型製作が良かったのか、それともただの偶然か殆ど手を加えないで完成したデカールに喜んでみたりして。
一番上の「YAMAHA」はタンク用なので、印刷時に白指定。
その他のロゴは紺の印刷。
一番下の「YAMAHA」の間には、メーターデカールを入れる予定。
本職がバダバタとしていて、やっとステップ周りの完成。
全く流用出来るパーツが無かったので、1.5mmの角棒をメインに組み上げ、ステップ本体は1つ作り複製。
私の所有していたバイクの初サーキット仕様と言う事で、ついでにサイドスタンドも製作したら、チャンバーと干渉してしまい、チャンバーも手直ししました。
ほとんどのパーツが揃った状態。
後は、フェールコック、チョークレバー、ロアホース、1KT専用レーシングスタンドを製作すれば、パーツは全て完成。
総パーツ点数(未製作分を入れデカールを1点と数えて)78点になりました。
フィニッシュした方もチラホラ出始めましたね。
完成した作品を見ていると、皆さんの熱意が伝わって来て私も同じものを作りたくなって来ます。
TZRは急なメーカー仕事で遅れ気味。
やっと完成したフェールコックはご覧のサイズです。
しかし、比較的見える部分に付くので無いと不自然なパーツです。
レーシングスタンドは面倒でしたが2分割はめ込み式で製作しました。
全てのパーツが揃ったので、デカールを仮印刷して車体に貼り付けてみました。
貼って見て気が付いた事は、下部の「YAMAHA」がウォーターポンプの逃げが膨らみ過ぎていて、歪に歪んでしまった。
これはやはり実車よりも膨らんでいると言う事なので、膨らみを減らさなくてはならない。
全てのパーツは揃いましたが、まだ多少の微調整は必要です。
それが終わればよいよ塗装に入れます。
なんとか塗装を施し、先程完成しました。  この時点ではYPVSのケーブルは付いていませんが、完成時には付けて有ります。
ディスク板はクレオスのシルバーとメッキシルバーを使用し、パットの当り面 の色調の違いを出して見ました。
チェーンは性懲りも無く、5色のメタリック系を使い塗り分けて見ました。  レーシングスタンドは実物同様にアクスルシャフトのセンター通し式で、抜く事でスタンドを外す事が出来ます。  
車体全景はこんな感じに仕上がりました。  約20年前に私が筑波サーキットノービスクラスに初エントリーした時の仕様です。  予選エントリー後にゼッケンを配布され、レース毎にゼッケンが違うので毎回ゼッケンナンバーは変えていたので特定ゼッケンは有りませんでした。 
こいつでレースをしていた頃はトランポなんか買う金も無く自走で筑波まで行き、ナンバーとミラーを外して灯火系にビニールテープを張ってゼッケンプレートを付けてサーキットを走り、また元に戻して帰ってくると言うのをしていました。
ノーマルチャンバーは黒く見えて画像では判りませんが、実車が下地のシルバーが透ける様な黒なので、同様に下地にシルバーを塗装し、スモークブラックを何度も重ねて黒く見せる様にして、ゼッケン等の黒とは違う色合いを出して見ました。
フルスクラッチと言う事で間に合うかどうか不安でしたが、完成した形状としては如何でしょう?。  自分では結構良い線に仕上がったつもりで居ますが、似ていると思ってくれる方が居てくれれば幸いです。
この画像は自分なりに、かなり似ているかな?と思うショット。  こいつに跨り常に眺めていた光景なので当時を思い出して、またTZRに乗りたくなりますが程度の良い車体も無く、ましてやパーツの供給も止まった今では、模型以外での所有はかなり難しそうですね。  参加した皆様、お疲れ様でした。 p,s,  毎年こう言ったバイクモデルの発表の場を作って頂いているMax氏に敬意と共にゲスト参加させて頂いた事を感謝をします。