モデラーGP2013
EX Class
Entry No.17

Yoshidaさん3
Norton commando 750 RoadSter


Heller 1/8 Norton commando 750 RoadSter です。実は昨年のモデGPに出品するために作っていたのですが、いろいろと事情が有ったりトラブったりで間に合わず、今年に持ち越しとなっていました。やっと9月末に出来上がったので詳細を記そうと思います。 。

エレールとトミーが提携し、トミーが販売していた物で購入したのは昔々で覚えていません。完成写真が組説の表紙に載っていますが、実車同様パッとしないスタイルは変わり有りません。理解しにくい説明書と絵で、組み立て順序などの細かい指示は全く無いと言ってよい程で、相当先の段階まで読んで自分なりに手順を考えないと進む事が難しいです。今回このあまりメジャーでないモデルを、自分の好みのカフェスタイルに改造して、小粋なジョンブル魂溢れる大人のカフェを目指しました。メッキ部品が多く入っていましたが、その全てが使い物にならないので、メッキ落としから作業が始まります。

いつもの手順でホイールから。メッキを落としてスポークを切り飛ばしました。リムは鉄チンメッキリムらしき物をH型アルミリムに改造、ブレーキパネルも手を入れます。

メッシュを貼る為に塞がっていた箇所に穴を開け、塗装はバフ掛けポリッシュ仕上げプラスクリアー塗装といった感じで光物を強調します。

リムも同じ塗装をしてフロントホイールの出来上がりです。

外国製のプラモにはフレームやボディーが歪んでどうしようっと頭を抱えてしまうケースが良く有ります、特に長い間ストックしていたりしたキットには。経年変化なのか元からなのか・・・今となっては知る由も有りませんが、このキットもまたかと思わせるほど歪みや曲がりのオンパレード、左右を合わせるのも一筋縄では有りません。熱湯に漬けて強引に曲げなおしたり、それでも駄目なら蝋燭地獄の刑に・・・、それでも駄目なら瞬着にも手伝ってもらったりして悪戦苦闘でした。

悪戦苦闘の末、多分これで大丈夫だろうレベルまで来たのでエンジンマウントの部品を取り付けてフレーム単体の完成です。

このキットの売りは何と言っても積層フィンで作るエンジンに有ります。本当なら喜んで良い筈なんですが、積層と言うだけで正確とは別、シリンダーフィンの縁は斜めに薄くしてあり、刃こぼれの様に所々欠けていたり・・・特にヘッド付近は大幅な修正が必要です。

 シリンダーの最下部、スタッドボルトとナットが有る部分ですが、モールドでは薄いナットだけの表現でしたのでボルトが見える様にナットを作って置き換えています。

シリンダフィンの積層はここまで、数枚残ったフィンはロッカーカバー側に貼り付け、ロッカーカバーを丸ごと修正していきます。

ヘッドのキャブ取り付け部分の造型が出鱈目なので修正するためキャブ部品から本来エンジン側に有る部分を切り離しています。

2個のキャブ部品から切り離した物をエンジン側に貼り付け、パテを盛って削って修正、本来の形が出来てきました。

ロッカーカバーはタペット調整用蓋周辺、後部蓋、サイドのモールドなどパテ盛りやプラ板貼り、削り込みで大幅に修正しています。

修正を終えてエンジン部品と色調を合わせて塗装しています。
エンジンとミッションをサブフレームに固定してから強引に修正したメインフレームに搭載していますが、キット部品のマウントボルトは短くて使い物になりません、この類の部品は全て金属棒に切り替えて組みつけていきます。

前後のサスペンション作りに入っています。いろいろと仮組みをして確かめなければいけない部分が多いので塗装前に取り掛かっています。正規のフェンダーは上下にステーの有る部品ですが、ステーを無くしブラケットも形の違う物にしようと思います。正規品のフェンダーとブラケットを軽く接着して取りあえず位置を合わせ、ボトムケースの取り付け部分を確定させています。その後フェンダーを外しブラケットの穴位置に合わせた新規のブラケットを作ります。

仮付けしたブラケットの穴位置に合わせアルミ板から切り出したブラケットに穴を開け、仮組みをしています。この後ボトムケースに仮組みして正確な位置を決めなければなりません。

新規に作ったプラグとコードとコイルを車体に取り付けシリンダー周りに配線は終了。組み立て済みのリヤサスも組み付け終了しています。エキゾーストパイプを仮組みしたところ、左右全く曲線が合わず、そのままでは使用不可という事も判明。フレームだけではなく、こんな部品までも経年変化で歪んでしまうなんて・・・。

ダブルカムのブレーキアームの工作が終わり、フェンダーの工作も無事終わったので各々を組み付けてバネ下以下の工作が終わりました。

ハンドルの形状をどのタイプにしようかいろいろ迷いました。キットのハンドルはオーソドックスなアップハンドルでカフェスタイルには使えません。一文字タイプにするかクリップオンタイプにするかで悩みましたが、結局工作としては面倒な方のクリップオンタイプにする事でハンドルのベースを作り始めています。

レバーとホルダーはキット部品を流用、アクセルのリール部分はプラ板の合板から削り出し、グリップラバーは5mmプラ棒から削り出しています。本来ならハンドルバーに付く筈のチョークレバーですが、スペース的に無理なので別の場所に装着する事にします。

ケミカルウッドで作ったタンクはノーマルよりも長くしたために着座位置も後方になったため、シート幅もフレームの関係で幅広になっています。以前プロターのプロダクションレーサーを作った時もずいぶん幅の有るシートだなあと思っていましたが、今回のカフェも期せずして同じ様なポジションになるので、プロダクションレーサーに倣ってポジションを決めていこうと思います。シートはシートエンド一体のシートを試作して、タンクとシートの形状バランスを見ようとしています。

キット部品のエキパイが、経年変化の所為か左右の曲線がバラバラで使えないので作り直そうと思っていました。どうせ作り変えるなら全くスタイルを異にしたスタイルに、改造自由なカフェですから・・・・っと言うことでエキパイを作っています。キット部品は左の長い物で、白い方が作り変えている物です。材料は5ミリのプラ棒。熱加工ではなく、切断してはつなぎ、切断してはつないで曲線を出し、最後に全体を4ミリの太さに削っています。因みに「と」の字形状の物はプラ棒その物なので、エキパイ全体を径4mm程に細く削った物との違いが分かるかも。


造型が終わり塗装に向けて下地を作っています。ケミカルウッドは数回サフを吹き、その都度研ぎ出しをして気泡が出なくなるまで辛抱強く繰り返しました。殆んど目立たなくなったら下地塗装の始まりです。エキゾーストの方は気泡ではなく削り傷と細かく切り繋いだ段差がなかなか消えてくれません。これも辛抱強く何回も塗装と研ぎ出しを繰り返したので殆んど目立たなくなってきています。シートを除いた部品はクローム塗装となるので、下地の処理には万全を期さなければなりません。

シルバー系の塗装もこんな感じになっています。マフラーとエキパイはスパッツでメッキ塗装、タンクはスパッツに一味加えてアルミっぽくしています。タンクとエキゾースト、マフラーにはクリアーを被せ、特にタンクにはこれから大仕事をしなければならないので塗装が剥げない無い様にと用心のため。

マフラーを完成させエキゾーストとマフラーには派手にならない様に焼け色を付けています。ステンレス素材で作られた事を想定してエキゾーストには緩やかにつながるグラデーションで、マフラーにもオレンジやイエローを薄く吹いて全体が焼けた感じにしてみました。エキゾーストとマフラーは塗装後に一度エンジンに仮組みし、エキパイとマフラーを接着して一体化してあります。この方が本組みの時綺麗に取り付けが出来ます。


バイクを自立させるためにはホイールをスイングアームに取り付けなければなりません。そのためにはチェーンスプロケットの工作を終わらせていなければならないのは当然の事。ところで、キットのチェーンを見たところ、軟質プラで出来た幾分太めのチェーンで、ローラーとローラーの間が抜けていて一見活けそうに見えます。しかし、回転させるには材質が硬すぎで、スプロケットとの噛み合いもきついのでスムーズな動きは期待出来ません、無理して回そうとすれば破損するのが目に見えています。そこでコスモズファクトリー製のエッチングチェーンを使う事にして全ての足を除去し、幅を揃えて作った真鍮パイプ製のローラーと30cmのピアノ線を用意すればチェーン作りのスタートです。

スプロケットのキット部品はブレーキ
ドラム一体で実車でも表裏同じ構造の様です。ドラム部分は3箇所の突起が有るキット部品を使うとして、作ったスプロケットをどの様に組み込むか・・・接着剤は瞬間接着剤を使うとしてもアルミとの相性が今一つ良くないので、単にべた付けでは剥がれる事が予想されます。何か方法を考えて剥がれ難い工作をしなければなりません

スプロケットをリング状に中をくり抜き、キット部品のスプロケットモールドを削って同位置にリング状スプロケットを落とし込む方法を取りました。落としこんだスプロケットは、其の位置が変わらない様にドラム側にプラ板を細く巻きつけてストッパーにしています。


スプロケットが完成したのでリヤはハブに接着、フロントはシャフトに仮通ししてチェーンを掛けてみました。チェーンの工作を中断した時点で長さはピッタリ!余分な弛みも無く本当にピッタリでした。チェーンはピンで仮止めしていますがこのまま繋いでもドライブスプロケットが抜けるので工作上は問題無し。ただ、とてもスムーズに回転するのでチェーンの僅かな振れで外れる事も・・・調子こいて弄り壊さない様に気を付けないと・・・って言うよりも見えない様に外れ防止の対策を考えた方が良いのかも・・・。


徐々に組み付けが進んでいるので、デカールを貼らなければならない部品の準備に掛かろうと思いますが、キットのデカールは保護剤を使っても修復が出来ません。しかし、修復出来ても文字の色が合わないので結局は使えない事になります。メーターデカールだけは何とか台紙ごと使うことにしましたが・・・。デカールを作るノウハウを持たないので、ロゴ関係はシールとしてではなく少し厚みの有るエンブレムとして作ることにしました。


色々な資料から使えそうなロゴを取り込んで編集と色をきめました。デカール印刷が出来ないので時々使う手法をここでも使おうとしています。家庭用の一般的なインクジェットプリンターで大きさを設定して出力してみました。このまま切り出して貼ったのでは透けてしまうので、色々な下処理をしていきます。


デカールと言うより厚みの有るエンブレムと言った方が適切かも知れません、そのためにわざわざ厚みを付ける細工がしてあります。フェールタンクのラインも上手くいき、こちらもノートンのロゴのエンブレムを貼り付けてたっぷりとクリアーでコート、コンパウンドで荒れている表面を均してこの作業が終わりました。しかし未だ工作する箇所が残っているので、そのまま組み付けと言う訳には行きません。


配線をするためにエンジンを完成させなければなりません。キャブの工作が残っているので済ませてしまいます。ノーマル仕様ではエアクリーナーが付きますが今回はカフェ仕様ですのでファンネルを付けようと思いますが部品が有りません。そこでスポークに使うロッドの入っていアクリルの円筒ケースを使い、火で炙って伸ばしています。なかなか計算どおり行かなくて何度かトライ、丁度良いところを切断して・・・。何度かトライして良いとこ取りでこんな風になりました。これで塗装すれば何とかなるでしょう。


キャブにはモールドの足りていない部分、ボルトの頭やワイヤー類の取り付き部分を足してそれぞれを塗装。ファンネルも塗装して取り付けて完成、出来上がったキャブをエンジンに取り付けました。出来上がってしまえばファンネルは少ししか見えなくなりますが、雰囲気はこれの方が良いかと思って・・・。


電装の配線はメインフレームに沿って張られているので、その束から枝分けれする様にしなければなりませんが、ケーブル類もフレーム沿って這わせていきます。


ステップの工作に入ります。ノーマルのステップはキット部品を見ても分かるとおり長いアームの先にステップが取り付く方式、バックステップにする場合はアーム部分が必要無くなるのでアーム根元の三角おにぎりだけを作って、そこにステップバーを取り付く様にします。


右側シフトアームを作っています。プラと金属のハイブリッド部品・・・なんちゃって。おにぎり方ブラケットにスペーサーを挟み、シフトプレート貫通させてステップバーを通しています。仮組みなので可倒式の工作や長さ合わせはこれから。キックアームを避ける様にシフトアームがカーブしているのが特徴ですが、カーブや横方向のネジレ加減が難しいところです。


テップを可倒式にしてシフトリンケージを作っています。可倒式ステップはキックアームに干渉しない様に垂直に起きる様にしています。


左のブレーキアームもシフトアームと同じ材料を使い金属加工しています。両方の付け根のプレートにはナットのモールドを付け、ブレーキ側にはケーブル止めとストップスイッチも追加しています。


キット部品のキックアームは付け根からカーブが合わないので、作り直すか修正か迷いました。結局キット部品を修正することにして熱処理でカーブの修正をしています。ペダル部分は固定式だったのを90度方向を変えられる様に工作、トップの止めナットもプラ棒で袋ナットを作って止めています。また一体でモールドされていたキックシャフトは削り落とし、シャフト単体でミッション側にセット、キックアームには穴を開けて本物と同じ仕様にしています。


塗装を終えて組み付けています。カフェと言う事で材質の地肌は隠し、メッキ仕様としました。ステップを起こしキックペダルを踏みおろす位置にして見ました。このモデルのギミックはこれだけです。


ブレーキ側も配線を除き取り付けが終わりました。昔、プロターのノートンコマンド・プロダクションレーサーを作った時は結構この部分で苦労した思い出が有ります。今回はその時の経験が有ったせいかそれ程苦にならず、思う様に工作出来て仕上がりにも満足しています。


一旦はこれで良しと思ったフェールタンク、何度も仮組みしてスタイルを見ていると何となく自分のイメージした物と車体にセットしたスタイルとの間に違和感を感じ始めていました。タンクの中央部にカーブの頂点が有り、何となくボッテリした感じでスッキリしません。折角完成しているタンクなのでやり直すとなると一からやり直すのと同じ様なもの。しかし納得出来なければ失敗作と同じで愛着も湧きません。意を決してピカピカのタンクに鋭いヤスリの刃を立て削ってしまいました。頂点位置を前方にずらし、より扁平にするため結構削っています。剥がしきれない塗装部分を無視して一回目のサフ吹き終了。


サフを何回、下地の本吹きを何回と細かい数字は覚えていませんが相当の回数吹きと磨きを繰り返しています。下地の最終吹きが終わり、少し乾燥時間を設けてから表面に付着した少量の埃を落とすためにコンパウンドを掛けています。鏡面にするためには充分に乾燥させる必要が有るため暫く放置しておきます。


フェールタンクの塗装と乾燥に時間が掛かるので、残っている部品の工作をしています。サイドスタンドの部品はフレームに取り付ける根本の部品が有りません。ただ小さなノックピンが付いた小片が有り、フレームに貼り付けてノックピンにサイドスタンドを格納した状態で接着するだけになっていました。完成後の立ち姿に変化と表情が欲しいので、スタンドの根本を車重に耐えられる様に補強して可動させたいと思っています。


補強したスタンドの根本はフレームとクロスメンバーが交わる付近の形状に合わせて削り瞬間接着剤を盛りつける様にして半ば強引に接着しました。結果としては大成功で、ブラック塗装のフレームのため、その有り様は全く見えなくなり、サイドスタンドで立たせた車体もシッカリした状態で自立出来ました。


格納状態もフレームから離れてしまう事無く、バンク角にも影響を及ぼさないで収まっています。後はひ弱なメインスタンドの補強をどうするか・・・このまま部品を塗装して付けてしまうと、経年変化で数年内で壊れてしまいそうです。


メインスタンドで立たせたくても揺ら揺らと不安定、スタンドを金属で作り変えたくて手持ちを色々探しても見当たりません。プラ棒とプラ板を使って作り変えてもそう大差無いでしょう。そこで、一番力が掛かる部分を強化する意味で2mmの銅棒でシャフトを作って貫通させてみました。この部分は左右からフレームをノッチの付いたスタンドで挟むだけでしたから、構造的にはこっちの方が遥かに頑丈な筈・・・。結果は大成功、元々ノッチの径よりフレームの穴径の方が少し大きかったので、抑えるにしても無理な状況でした。スタンドアップ状態でも加工前の揺ら揺らは全く無くなり、安定した姿勢を保つ事が出来るようになりました。


キット部品のフェールキャップは何処のメーカー製か不明、しかもスクラッチしたタンクには不似合い。そこでイギリスのエノット製のタンクキャップを模して造ってみました。


一時はシルバーに塗ったり、メッキ仕上げにしたりと落ち着かなかったタンク、仕舞いには手を滑らせて落下、塗装が剥げて修復は不可能。今までやってきたのは一体何だったんだと思いながらも、デザインに飽きが来ていたのも事実で、どこかで見た感じは拭いきれませんでした。最後にスクラッチしたエノット風タンクキャップと小さく作り直したフェールコックを取り付けてタンク作りは終了です。人真似では無い自分オリジナルのデザインにしようとシルバーのピンストライプ一本を書き込んでシンプルなデザインにしました、この方が飽きないかも。


いろいろ有りましたが何とか完成させる事が出来ました。

カフェだけど派手さを抑えました。

大人のカフェ

マフラーを1本出しにしたため驚くほど細身に変身。

左側


メーター周り。トップブリッジのハンドルクランプに有るのはチョークレバー。


このアングルが好き

最後の一枚
close