1990 YAMAHA YZR500
#2 Wayne Rainey
(スタジオ27 '91YZR500改造)

「modeler GP 2002」に参加するべく、スタジオ27社'91 YZR500を元に'90モデルのレ イニーYZR500を製作開始。
まずはアッパー&アンダーカウルの形状修正からスタート!
キットと資料を何度も見ながら形状をイメージし、削る箇所・パテを盛る箇所・ 切り取る箇所などを決定。
パテをガシガシ盛り、形を出していく。
資料の写真と照らし合わせながら何度もパテ盛り&削りを繰り返した。
アンダー(サイド?)カウルのエアインテーク部はプラ板の箱組みをベースに、その 上からパテ盛り&削りだし。 ナックルガード部とアッパーカウル前面部&下もパテ盛り&削りで形状変更。
大体の 形が出来てきたら、サーフェーサー(ソフト99)を吹いて細かいピンホールやスジな どを整える。カウル接合部の分割線は新たに掘り直した。
シートカウルもパテ&削り込みで形状を修正している。



高いガレージキットを切り刻 むのは勇気がいります・・・(笑)

 

正月休みを利用してコツコツ製作を進めました。 ちなみに資料は「レーシングヒーローズ」という雑誌の特集記事です。

カウルにあるボルトのモールドは切り飛ばしピンバイスで穴を開けた。これらの穴に は最後に虫ピンを取り付けボルトを再現する。

カウル類の加工が終了したら、次はフレーム周りの製作に取りかかる。 レジンとメタルパーツから構成されているので、タミヤのキットのように簡単には組 み上げることが出来ない。 メタルバーツのバリやパーティングラインをヤスリで削り取り、ワイヤーブラシで磨 いた。細かいパーツも全て同じ処理をして固定用のピンを通した。

各部の仮組み開始。全てのパーツをピンで固定できるように摺り合わせをしながら取 り付けていく。キット自体の重量もあるので、しっかりとした補強をしてやらないと 後々心配だ。 スイングアーム裏などの凹みはパテで埋め、レーシングスタンドのフックも強度もアッ プのため虫ピンに置き換えた。

フロント周りの仮組。このキットはタミヤのインジェクションキット「ドカ888レー サー」の足回りを流用する。'90 YZR500とはステム三つ又ブラケット、Fサスのアン ダーブラケット形状等が違うので、後で修正しなければならない。キャリパーもブレ ンボではないようだ。キャリパー形状がわかる当時の資料を探さなければ・・・(汗)

フレームとカウルの仮組も行う。特に大きな修正も必要なく、比較的簡単に組むこと が出来た。 メタルでできたチャンバーなどの重量物にもしっかりピンを通して固定できるように 加工した。

全てのパーツを借り組みする。ガレージキット製作はいかにこの仮組をしっかりとや るかで仕上がりが変わってくると思う。
スタジオ27さんの製品は内容もしっかりしていて、バイクのガレージキットとしては 組み立て易く良くできたキットだと思う。今後も過去の名車をキット化してもらいた い。
各パーツはピンで固定・取り外しが出来るので、塗装後しっかり組み付けられる。

 

イラストレーターで版下を作り、熱転写プリンターで'90 YZR500に必要なデカールを作成。
'91とは違う部分が多々ある。
キット付属のシートカウル用ゼッケンのデカールはナンバーとベースが一枚モノになっているので、これも新たに作成した。
イエロー の色味がフロントと変わるといけないので、フロントのゼッケンベースも製作。

カウルの塗装開始。
ソフト99車用サーフェーサーで下地を整えた後、ベースのホワイトを塗装。乾燥後、各部をマスキング。
ラジエターのエアインテーク部分などマスキ ングしにくかった・・・・(涙)
マスキングテープの境目が汚くならないように、テープの境目に軽くクリヤーを吹い た後、蛍光レッドで塗装。

 

乾燥後自作デカールを貼っていく。
フロントゼッケンベースの白い部分は'91バージョ ンより幅広になっている。
自作デカールはマークソフターを付けすぎるとインクが溶けるので、お湯に浸したテ ィッシュ&綿棒で丁寧に曲面に馴染ませた。

 

サイドカウルの形状を変更したので、横のマルボロマークはキットのデカールを使わ ずに、モデラーズ製の「蛍光赤デカールシート」を切り出して貼った。
マークソフターを付けると非常に伸びが良くなり貼りやすい。
入り組んだ形状にもピッタリ貼ることが出来た。

 

フロントフェンダー。
キット付属デカールより若干小さめの「MICHELIN」ロゴと、線 だけ黒の透明「ビバンダム君」も自作デカールを使用。
キットの'91モデルとは違う箇所が多く、思いの外たくさんのデカールを作るハメに なってしまった。
蛍光レッドの上にあるデカールには、透け防止のため下にホワイトベースのデカールを貼っている。
デカール乾燥後、全体をクリヤー塗装。蛍光色はクリヤーで流れやすく、またデカールを侵食しやすい。慎重にクリヤーを吹く。 ペーパーがけ&クリヤー吹きを繰り返して、研ぎ出しをしていく。

 

色々な資料を調べると、この'90 YZR500も他年式のワークスマシーン同様、シーズン を通してレースごとに細かいモディファイを受けていることがわかった。カウル形状 やスポンサーステッカー、ゼッケンの位置、フレーキキャリパーの仕様など細かな違 いがある。もう10数年前のマシーンなので、資料探しに苦労した。
と、ここまで作業を進めていく中で、重大なミスに気が付いた。タンク上の 「Marlboro」マーク位 置とキャップ位置が'91とは違うことに・・・既にタンクには デカール貼り&クリヤーコートまで済ましている・・・またやってしまった・・・ (涙)
気付かったフリをしても良いのだが、せっかく「モデラーGP」にエントリーしている のでやり直すことにした。

 

まずはクリヤー層の下にあるデカールを紙ヤスリで削り落とし、元々あるキャップ穴 をパテ埋め。別の位置にタンクキャップがピッタリ合う穴をリューターで作り、再度 塗装して写真のようにデカールを正しい位置に張り直した。

カウル類を数日間完全乾燥させた後、アンダーカウルとチャンバーを取り付ける。合 わせ目をキレイに消して、サーフェイサーで下地を筆塗りした。 今まではカッターでマスキングテープを細切りにしていたが、模型店で最初から極細幅に切られているテープを発見。この極細マスキングテープで溶接の継ぎ目をマスキング。エアブラシを使ってチャンバーの焼けを塗装。
最後にサイレンサー・チャンバー 全体をクリヤーでコート。

 

細部の改造&ディテールアップを進める。
三つ又アンダーブラケットはドカティのキットでは全然形状が違うので、田宮 の'98YZR500のパーツを流用。プラ板で厚み増し&クランプ部の修正で'90の形状にし た。ついでに虫ピンでクランプボルトを再現。
'91からはFフォークアウターチューブへの面圧分散の為、ボルト3本締めになってい たが、1990年モデルではまだ2本締めだった。

 

ステアリングダンパーも'91とは形状が違う。ダンパーボディー部のみNSR500キット から流用。
キットではステダンが動かないが、シャフト部もピアノ線に置き換えたの で、ステアリングと連動して稼動するようになった。
'91ではトップブリッジにマウントされていたFブレーキフルード別体タンクは'90で はハンドルに取り付けられていた。
キットのタンクを削り落とし、ジャンクパーツか ら持ってきたタンクをハンドルに取付る。2本のスロットルケーブル部も新設した。
この頃のYZR500はリヤサスのイニシャルアジャスター(?)がトップブリッジにマウン トされていた。キットにはこのパーツが付いていなかったので自作。アジャスターは ドカのキットから流用し、取付ステーはプラ板から切り出して作成。虫ピンで固定で きるようにした。

 

資料を調べると'90 YZR500のFブレーキにはシーズンを通して何種類かのキャリパーが使用されたようだ。今回はAPロッキードの4ポッドキャリパーをモデルアップする ことにした。
キットのキャリパー部にパテを盛り、あ〜でもないこ〜でもないと盛り&削りを繰り 返した。エア抜き用のバルブらしきものや、金属製のパイプなどを追加。Fサスのア ンダーブラケットも形状修正済。アクスルシャフトのクランプ用ボルトもキットの1 本から→2本に変更。
キャリパー横の青い部品を再現するため、何種類かの大きさのデカールも自作した。
各部を塗装。インナーチューブは金箔シールを貼った。
細部をじっくり見るとおかしい箇所が多々ありそうだが、しっかりとした資料が無かっ たのを言い訳にこれで良しとしてしまおう(笑)

 

タイヤ表面に紙ヤスリをかけてパーティングラインを消し、ホイールに装着。
タイヤマークは古いタイプの「MICHELIN」のロゴを使用。

 

車体を組み上げていく。だんだん形になってきた(嬉)
このキットに付属のエッチングパーツも取り付ける。
各部がディテールアップできで き嬉しい。

 

イグニッションコイル、ステアリングダンパーなどのカウル内部パーツを先に取り付 けてから、カウルをはめ込む。
仮組をしっかりやったおかげで、カウル・フレーム・ラジエターなど、ピン留めする 各パーツをピッタリ組み込むことができた。
カウル各部に空けたビス穴に虫ピンを接着してカウル止めビスを再現。センターカウ ル下部にくり抜いてある穴には切り出した小さいラジエターをはめ込んである。
個人的にクリヤー層の厚いテロテロ塗装面が好きなので、カウルにはたっぷりクリヤー を吹いている。

 

細々としたパーツを組み上げ、Fブレーキホースなどのチューブを取り付ける。
また メーター裏側やYPVSサーボなど外から見えるメーター周りのワイヤリングを追加した。
ハンドルには細切りにしたメタルックを巻き、ワイヤリングを再現。
このキットはカウルを取り付けてからハンドル周りを組み立てるので、ピンセットを 駆使してハンドル周りのパイピングを施した。
タンクから伸びるブリーザーパイプはライターでアブりながら形を整えている。

 

キット付属スクリーンを取り付けてみたが、形状が違うので自作することにした。
まずは原型を製作。キット付属のスクリーンを元に原型を作り、それにエポパテの盛 り&削りでアッパーカウルと摺り合わせをしながら'90のスクリーン形状を作り出す。

 

バキュームフォーマーで整形した'90用スクリーン完成!
スクリーンを丁寧に切り出してクリヤーブルーを裏側から軽〜く吹き、自作デカール を貼った。
自作デカールは擦れるとインクが取れ易いので、上からアクリルのクリヤーを筆塗りしてコートした。(注:エナメルを使うとデカールが溶けます)



レーシングスタンドもドカティキット付属のモノではなく、ヤマハ純正(?)のスタンドを使用。
田宮キットのOW-01から拝借して、YZRのスイングアーム幅に合うように幅を詰めている。

 

今回のコンテストに「何かもう一つアピールポイントを!」と考え、バイクに合わせ て当時のウェイン・レイニーのヘルメットも作ることにした。 かれこれ10数年前のモデルなので、今時のメットと比べると随分ズングリムックリし ている(笑)
昔発売されていたタミヤの「1/12レーシングライダー」のヘルメットを大体の形状に パテ盛りした後、一回型どり・複製してベースを作る。 複製したベースを元にパテ盛り&削りで形状を出していく。
ヘルメットは単純な球状なので簡単に出来ると思ったのだが、なかなか難しい・・・(汗)
ある程度形になったら、細かいことには目をつぶって(笑)ベンチレーション用ダク トなどのモールドを彫り、原型完成!
これに合わせて透明プラ板でスクリーン、イ ヤーカップも製作。 この原型を更に型取り&複製。

次にメットのデザインとなるデカールを作る。この作業はかなり苦労をした。
イラストレーターで版下を作るのだが、デカールを貼る対象物が球体なので寸法出し が非常に難しい。何度も紙へプリント&摺り合わせを繰り返して何とかデカールも完 成。
キャストで複製したパーツをママレモンで洗浄し、剥離剤や油分を落とす。バリやパー ティングラインを落とし、気泡などの処理後、サーフェーサーで下地処理をする。
サーフェーサーを吹いた後、気泡やキズなどを最終確認。全体をホワイトで塗装。

乾燥後デカールを貼っていく。貼る対象物が球体なので結構難しいと思っていたが、 デカールの質が良いためか、ヒビ割れや破れも無く一発で貼ることが出来た。これが 田宮キットに付属しているパリパリデカールだったら貼るのは不可能だったであろう・ ・・
ここでデカールに多少のシワが出ても後で修正できるので、細かいシワなどは気にせ ず作業を進める。全体の位置・バランスに注意して全てのデカールを貼り終えた。

タミヤのラッカークリヤーで塗装。最初は軽く、その後は厚めにクリヤーを吹いた。 この自作デカールは一般のデカールよりもクリヤー塗料に対して強いようで、あまり 神経質にならずにクリヤーコートすることが出来る。
全体に#2000のサンドペーパーをかけ、デカールの段差を無くす。デカールの切れ目 などを筆でタッチアップして、最後にもう一度クリヤーでコート。再度完全に乾燥さ せ、ゴムの部分などを筆塗り塗装した。 透明プラ板から切りだしたスクリーンの裏側をスモークで塗装。
最後にイヤーカップを取り付けて完成! ふ〜、なんとか締め切りに間に合いました・・・・(汗)